クリスマスプレゼント

「見たことはあるんですけど、分からないです」

 

 

「あれってさ、聡介が芥山賞取った時にみんなで贈ったんだよ。それでこれを開ける時は同じくらい聡介の人生で良い事があった時に開けようってみんなで約束したんだよ」

 

 

「えっ!?芥山賞!?!?」

 

 

 

 

 

 

そーちゃんが有名なホラー作家っていう事は

 

知ってたけど、私でも知っているような

 

有名な賞を取っていたなんて全く知らない。

 

 

 

 

 

 

 

「うん。聡介の人生に同じくらい良い事があったって意味分かる?」

 

 

「……久しぶりにみんなで集まれた事ですか?それとも、後輩が頑張ってるのを目の当たりにしたとか?」

 

 

 

 

 

 

そんな大きな賞と同じくらいの良い事なんて

 

私には分からないけど

 

思いつく事を言ってみても

 

陽太さんは意味深な笑みを浮かべるだけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きっとそのうちに分かるよ。それとはまぁ違うけど…俺は偽造とはいえ、聡介とシロちゃんが入籍した事を心から嬉しく思ってるよ」

 

 

 

 

 

そう言い残し、

 

その思い出のワインを開けているテーブルに

 

陽太さんも駆け寄った。

 

 

 

 

 

 

 

未成年の私と妊婦の百合さんと

 

授乳中の和香さん以外の男の人たちは

 

みんなで少しずつグラスに注がれた赤ワインを飲んで

 

それぞれの感想を言い合っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

月下の三人も未成年なのに…

 

そうだっ!シロちゃん、百合ちゃんにプレゼント渡そう」

 

 

 

 

和香さんが思い出させてくれて

 

私の部屋に忍ばせておいた

 

みんなへのプレゼントをリビングに持ってきた。

 

 

 

 

 

 

先日、そーちゃんが蓮くんを預かってくれて

 

私と和香さんで選んだもの。

 

 

 

 

 

 

少しでも感謝の気持ちを表したくて、

 

和香さんにアドバイスをもらいながらみんなに用意した。

 

 

 

 

 

もちろん、今日百合さんが来るって聞いて

 

百合さんのプレゼントも買って来た。

 

 

 

 

 

 

「百合ちゃん、これね私とシロちゃんからのクリスマスプレゼント」

 

 

 

キレイにラッピングしてもらった

 

赤い包みを百合さんに手渡した。

 

 

 

 

 

「私にまで?ありがとう!!」

 

 

 

 

 

美人な百合さんはその表情を綻ばせながら

 

丁寧にラッピングを開ける。

 

 

 

 

 

 

「温かそう。しかもかわいい!!」

 

 

 

 

 

私と和香さんが選んだモコモコルームシューズ。

 

 

 

 

ひざ下まである家の中で履く

 

ブーツみたいなルームシューズ。

 

寒い時期だから妊婦の百合さんは

 

少しでも足元を温かくした方がいいと

 

和香さんと一緒に選んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ここも寒かったら、履いてくださいね」

 

 

「ありがとう。寒くないけど嬉しいからさっそく履かせてもらうね」

 

 

 

 

 

 

ニコニコと顔を綻ばせながら

 

履いてくれる百合さんを

 

私と和香さんは嬉しくなって

 

笑顔を抑えきれない。

 

 

 

 

 

 

 

セーラー服にピンクのブーツの百合さんは

 

 

嬉しそうにまーくんに“これもらったの”と

 

自慢をしに行くから

 

 

 

 

「えっ!?俺にはねえのか!?」

 

 

 

 

 

と、本気で心配そうにしているので

 

まーくんにもラッピングしたタバコを渡した。

 

 

 

 

 

 

 

それぞれにプレゼントを渡して、

 

和香さんと浩介さんには

 

蓮くんの出産祝いも一緒に渡した。

 

 

 

 

中には、退院時に親子三人で病院の前で撮った写真も入れて。

 

 

 

 

 

「これ、そーちゃんに」

 

 

 

 

 

 

そーちゃんにプレゼントを手渡すと

 

私が買ってるなんて想像していなかったのか

 

目を見開きながらも

 

少し表情を緩めて受け取ってくれた。

 

気に入ってくれたらいいんだけど、これは私とお揃いなの。」

 

 

 

 

ラッピングを開けているそーちゃんの

 

手の中にある紺のトナカイ模様のそれと

 

今私が履いている赤いトナカイの

 

ルームシューズを交互に指差した。

 

 

 

 

 

 

そーちゃんのプレゼントどうしようと

 

和香さんに相談した時に

 

“ま○ちゃんグッズがいいかな?”と聞いたら

 

“何でま○ちゃん!?”と驚かれ

 

温泉地での話をしたら大爆笑されながらも

 

“絶対にお揃いのモノが喜ぶよ”と

 

アドバイスをもらい

 

これにしてみたわけなんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

「私のトナカイは赤なんだ。外で履かないものだから、大丈夫かなって思ったんだけど、もし無地とかの方が良いなら交換もできるの」

 

 

 

 

そーちゃんにトナカイかぁ〜と

 

最後まで模様で悩んでいると

 

店員さんが履いていないなら

 

レシートと一緒に交換できると

 

教えてくれた事を伝えてみる。

 

 

 

 

 

 

 

「これでいい。ありがとな」

 

 

 

 

 

 

そう言いながら早速ルームシューズを

 

履いてくれるそーちゃん。

 

 

 

 

 

 

「何も用意してねえから何か欲しくなったらいつでも言え」

 

 

「え?そーちゃんからのプレゼントはもらったよ」

 

 

 

 

 

そう。あの和香さんと買い物に行った帰りに欲しい物を見つけた。